父親が親権を手に入れるために必要なこと|離婚原因が妻の場合
一般的に、親権というテーマに関しては圧倒的に母親が有利なことは言わずもがなです。しかし問題は、その離婚原因が母親の不倫にあるケースです。
「母親が原因で離婚になったのだから当然親権は父親に来るもの」と思っている男性も多いはずです。実はそんなに単純なものではありません。実は妻の浮気が原因で離婚したとしても、親権は女性側に与えられることが多いのです。
こちらでは離婚原因が妻にあるのになぜ親権を取られてしまうのか、さらに父親が子供の親権を取るためにはどうしたら良いのか、ということを中心にお話します。
父親が親権を手に入れやすくなる7つの方法
特によくないのが、仕事に忙しいとのことで育児を母親に任せっぱなしにする、ということです。仮に妻の浮気が原因で離婚するとしても、育児の実績がない父親に親権が来ることはほとんどありません。
子供の親権が母親に行きやすいのは、育児を行った実績があるからです。今後も責任を持って養育だろう、と判断されるわけです。
育児への参加ですが、やはり仕事をしていることで難しいこともあるでしょう。そういった場合には、母親や姉妹などの身近な女性に手助けをしてもらうこともおすすめです。自身の身の回り全体で養育した実績を作れれば、親権が獲得できる確率も出てくるわけです。
どうしても仕事が忙しくて育児をするのが難しい、というケースには転職も考えたほうが良いかもしれません。もし親権を取ったとしても、育児がしっかりとできないような状況であれば、子供を不幸にしてしまいます。
積極的な育児の具体例
- おむつ替え
- 買い出し
- 入浴
- 離乳食を作る
- 授業参観への出席
- 学校や塾、習い事への送り迎え
- 地域行事に一緒に参加するなど
少し難しいですが、子供の意思によって父親についてくるようにしましょう。15歳以上になれば、子供の意思が親権に大きな影響を与えるわけです。子供が「父親と一緒に暮らしたい」と望めば、親権を得られる可能性がぐっと高まります。
特に15歳くらいになると過敏な時期でもあります。母親が浮気したということに拒否感を示す子供も少なくありません。妻が浮気したということであれば、子供が母親ではなく父親を選択する、という可能性が出てくるわけです。
ただ浮気ですが時効があることも確かです。子供が15歳になるのを待っていられないかもしれません。時効の期間は3年間です。
浮気の時効が3年間ということですが、少し複雑になっています。実は実質的に浮気の時効はない、といっても良いものなのです。妻側から【時効が来ている】といった指摘を射されない限り、権利が残っている状態です。
ちなみに除斥期間というものがあります。除斥期間とは浮気の慰謝料の請求権が消滅する期間なのですが、そちらは20年となっています。かなり長期間となっているのであまり気にしないでも良いでしょう。
浮気と親権は直接的な関係を持たない、と述べましたが、実は浮気によって育児放棄が母親に認められる場合には少し話が変わってきます。
浮気をするために育児をないがしろにしていることが認められれば、父親でも親権が取れるわけです。そのためにも妻が浮気をしていた確固たる証拠が重要になってきます。
妻が浮気している証拠ですが、単なるメールでのやりとりなどでは証明できません。確実な証拠が必要なのです。
奥さんを尾行調査して自身で証拠をつかみたい、といった気持ちもあるかもしれませんが、尾行している最中に顔を見られてしまえばアウトです。そこでおすすめなのが探偵事務所に調査を依頼する、ということです。
探偵事務所は浮気調査に力を入れており、尾行調査や張り込みによってより確実な証拠を集めてくれます。たとえば、浮気相手と一緒にラブホテルイニで意思しているところや、浮気相手の家に一緒に出入りしているところなどを写真や映像で残してくれるわけです。
それらの証拠を示すことで、奥さんの浮気が明確化されます。更にその浮気をしていることで育児放棄に近いような状況が証明できれば、親権が手に入りやすくなるわけです。
いきなり離婚ではなく、しばらく別居する、という家庭も多いでしょう。その時に子供を奥さんに渡さないでください。自分の住む家に連れて行く、ということが極めて重要なのです。
離婚調停や離婚裁判では、両親場別居しているケースにおいて、子供と同居している方に親権を認めることが多いのです。
法律上、子供の生活環境が維持できる状態が良いとする傾向にあります。ですから別居時に、子供を連れて行くことが親権を得るために一つの重要な行動になるわけです。別居時に子供と別の生活をしてしまうと、親権が手に入れにくくなってしまうので注意しましょう。
離婚をする時ですが、基本的には当事者の話し合いで様々なことを決めていきます。そのことを協議離婚といいます。
しかし協議離婚で話がまとまらない、ということもあるのです。そうなると離婚調停や離婚裁判というものによって解決を目指すことになります。実はその調停と裁判は父親にとって良いものではありません。
離婚調停と離婚裁判では、子供が幼い場合には母親に親権を認めてしまいがちなのです。たとえ妻が不貞行為をしていたとしても関係ありません。
親権を得たいのであれば、はなるべく話し合いで行われる協議離婚に望みましょう。協議離婚となれば、一部妥協しなければならない部分(慰謝料など)もあるかもしれませんが親権を確実に得るためには大事なところです。
基本的に奥さんは親権を手放そうとはしません。自分のお腹を痛めて産んだ子を簡単には手放さないのです。しかしその奥さんには弱みがあります。
その弱みとは浮気相手のことです。浮気相手に夢中になったからこそ、結果的には離婚に至ってしまったわけです。そこで親権と浮気相手に対する慰謝料で交渉をするのです。
「親権を譲ってくれるなら浮気相手への慰謝料の請求はしない」
上記のような交換条件で迫ってみると同意してくれる可能性も出てくるかもしれません。
浮気相手に奥さんが夢中になっている場合には、浮気相手に迷惑をかけたくない、といった気持ちもあるでしょう。もちろん浮気相手も憎いとは思いますが、親権を得るためには多少の譲歩も必要になってきます。
ちなみに浮気の慰謝料ですが、それほど高額なものではありません。50万円から300万円程度が相場とされています。また男性の場合は仕事をしているケースも多いので、生活費に関してはそれほど心配ないことも多いと思います。慰謝料に関してはそれほど重要視しなくても良いかもしれません。
離婚する以上は、夫婦のいずれかがいま住んでいる家を出ていかなければなりません。仮に子供を連れて出ていく、ということになると子供の環境が大きく変化することになります。
転校というものは子供にとって大きなストレスになるものなのです。そこで考えなければならないのが、なるべく異子供の生活環境を変えない、ということです。
たとえばいま住んでいる家に住み続けられる、引っ越すにしても同じ地域(学区内)に転居する、というような事が必要になります。父親が親権者になったとしても、子供の生活には大きな変化はない、ということをアピールしましょう。親権が得られる可能性が高まります。
そもそも親権とは?
子供を育てる義務が生じ、代理人として法的な手続きができるようになる
少し難しい表現になってしまいましたが、要は子供を育てる義務が生じることを親権とよんでいるのです。親権を獲得した方は、子供を責任持って育てていかなければなりません。
一方で子供を育てる上で全責任を負いつつも、別れた相手に対して養育費を請求できます。これは慰謝料とは関係ないものであり、二人の間にできた子供を育てるにあたり現在は親権がない相手に対しても育てるためにかかる費用の一部を請求できるわけです。
親権が取れなかった相手にも子供に会う権利はありますが、親権者はその面会を制限させることも可能です。
その他の権利について
- 懲戒権・・・しつけをする権利
- 居住指定権・・・住む場所を決める権利
- 財産管理権・・・子の財産を管理し、その財産に関する法律行為を娘に代わって行う権利
以上の権利も親権を保有した親が得ることになります。未成年者に関しては法律上独立した人格として扱うに足るような精神的や肉体的能力を持たないとされています。
だからこそ、その面倒を誰かしら持たなければなりません。子供の面倒を見るために、上記のような権利が親権者に付与されるわけです。※「世界大百科事典 第2版」を参考にしました
妻の浮気が原因で別れたのに、なぜ親権を取られる可能性が高いのか?
子供が低年齢だと母親の養育は必要だと判断されやすい
乳児である場合では、かなり高い確率で親権は奥さんに取られることになってしまいます。しかしその確率は100%ではありません。実際に乳児であっても親権を父親がとったケースはあります。
「浮気」と「子供の養育」は関係ないと判断されてしまう
裁判所の一般的な判断として、「愛情」が大きな基準となります。子供に対して大きな愛情を持っているかを判断し、そのうえで親権者を決定するわけです。
妻が浮気したケースについては、夫に対する愛情は殆どなくなっていた、と推測できます。しかし子供に対して愛情がなくなっていた、という判断はできないわけです。
裁判所が浮気した奥さんに対して子供の親権を与える理由の根底として、【浮気をしたからといって子供に愛情がないとはいえない】というものがあります。
上記した判断基準ですが、最近では疑問の声も上がり始めていることは確かです。急に裁判所が判断を変えるということは考えにくいですが、将来的には基準が変化してくることも考えられます。
子供が母親の親権を希望するケースが多い
父親にとっては耳の痛い話になるかもしれませんが、子供は基本的に父親と母親では母親を選択しがちです。子育てに密接に関わっている母親と仕事に忙しくてなかなか子供に関われなかった父親では、子供の気持ちにどうしても差がついてしまうのです。
特に子供の希望が大きく反映されるのは、子供の年齢が15歳以上になったケースです。子供が15歳以上になっている場合には、子供が希望した方に親権が行くことが多くなります。
裁判所としても15歳はある程度自立した人間であり、その意見は尊重されるべきと判断します。子供の気持ちを無視して、判断を下すようなことはしません。
ここで注目したいのが、先程解説した幼ければ幼いほど母親に親権が行く、というケースです。15歳以上になると子供の判断によって親権が動きやすくなるのですが、ここでもやはり父親が不利になってしまいます。
ここまで聞くと八方塞がりに感じてしまうかもしれません。しかし父親が親権を得る方法がないわけではないのです。幾つかの方法があり、実際に親権を獲得した例もあります。
父親が親権を得られやすい状況とは
- 妻が子供に対して虐待をしている
- 妻が育児放棄している
- 子供が母ではなく父親に付く意思を持っている
- 妻が夫に対して暴力をふるっている
- 夫が日常的に積極的に育児や家事に関わっている
近年特に重視されてきているのが、夫に対する暴力です。妻の夫に対する暴力が証明されるようなことがあれば、それを盾に親権を主張することも可能です。
「自分に対して暴力を奮っていたのだから子供の対しても暴力をふるうかもしれない」
上記のような主張も出来るわけです。仮に妻が子供に対して暴力を奮ったことがなかったとしても、仮定の話としてできます。暴力の証明ですが、医師の診断書や映像などを残しておくとより確実になります。